8月7日にGoogleはローカル検索の仕様を7パック表示から3パック表示へと変更しました。この変更により、地域性のあるキーワードについて、大きな変化が見られています。
弊社パートナーのseoClarity社では、8月7日のアルゴリズム変更の前後にかけて、従来のローカル検索7パック表示と新たなローカル検索3パック表示についての調査を英語圏対象で実施しました。今回のコラムでは、この調査結果についてご紹介いたします。
【注】今回の記事内容は、当社と業務提携をしているseoClarity社にて、2015年8月26日に発表を行った調査内容を翻訳・再編集したものです。
【注】ローカル検索
地域にひもづいた情報を検索することやその検索結果、それを実現する検索サービスを総称する言葉です。
(例:「地域名+キーワード」のような地域掛け合わせキーワードや、スマートフォンなどの位置情報に基づく検索)
本調査結果の要点 (英語圏対象の調査)
8月7日(米国時間)の段階で従来の7パック表示から3パック表示へ仕様が完全に変更
仕様変更で、ローカルパックが検索結果ページでより目立つ位置に表示される
ローカル検索3パックは、93%の割合で1位のポジションに表示される
ローカルパックが上位表示され、店舗のないネット専業の企業は順位を3つ程度落とし、1位→2位に落ちると該当するキーワードで20~30%のトラフィックを失う可能性が
店舗など地域性を持つ企業にとっては、ローカルSEOに注力することでネット専業の競合企業を飛び越え、1位表示を狙える状況に
◆調査結果
Googleのローカルパックの仕様変更で起きたこと
8月7日、Googleはローカルビジネスの検索結果の表示方式について、小さく見えて実は信じられないほど重要な仕様変更を実施しました。
以前の7パック表示の代わりに、Googleは大きく数を削減した(しかし伸縮可能な)3パックのローカル検索結果表示方式に仕様を変更しました。
以前のフォーマット:

新しいフォーマット:

この仕様変更で最も重要なことは、表示形式の変更ではなく、以前の7パック表示と比べた際に3パックのローカル検索結果表示が出てくる頻度と、検索結果におけるビジビリティにあります。
今回の仕様変更の背景
何らかの地域性をもつキーワードに対し、この1年間にわたってGoogleは特定の地域にひもづいた検索結果を表示することに大きく注力してきました。こうした動きはGoogleのピジョンアップデート、マップの変更、ローカルカルーセルに関する取り組み、そしてモバイルフレンドリーアップデートにも見られます。
seoClarityのデータサイエンスチームが新しい3パックのローカル検索結果表示に最初に気づいたのは、今年3月から4月にかけ、ホテルや貸別荘、レストランといった産業についてでした。表示形式の変更はそれ以降、英国、オーストラリア、そしてブラジルで行われました。最初に導入されてから3か月たった今に至って、新しい表示形式は地域にひもづいたほぼすべてのキーワードに対し、完全に適用されました。
下記のグラフは、従来の7パックのローカル検索結果表示から、新しい3パックのローカル検索結果表示への劇的な変化を端的に示しています。

影響範囲はどの程度のものなのか?
この変更の本当の影響を測るために、私たちは100万キーワードを超えるデータセットを取り上げ、マップ表示とローカル検索表示のビジビリティを比較することにしました。
調査方法
1: 7月25日にローカル検索7パック表示がされていたキーワードリストをもとに調査開始
2: 8月15日の段階で新しい3パック表示がされていたキーワードに絞り込み
3: それぞれの日付でローカルパックが表示されていた順位を取得
4: 以前のローカル検索の7パック表示と新しいローカル検索の3パック表示のビジビリティを比較
上記の方法により、キーワードセットを53,074キーワードに絞り込みました。
順位状況の比較結果は以下の通りです:

驚くべきことに、新しいローカル検索形式では、93%の割合で1位のポジションに表示されていました ― 25%について7パック形式が1位表示されていたのに対し、大きく増加しています。
誰が損をするのか?
この変化の影響は自社のプレゼンスによって異なります。しかし1つ明らかなのは、この間Googleが検索結果に対して行った変更で(定期的なアルゴリズムアップデートを除き)、最もすさまじいものだ、ということです。
新たなローカルビジネスの結果表示の台頭によって、何年にもわたり従来のような検索の最適化を行い、結果として非常に大きなオーソリティとビジビリティを築いてきたネット専業の企業は、地域でのプレゼンスを良いかたちで形成している企業によって、3つ程度順位を落とすリスクがあります。
ホテルズドットコムのような企業を例にとってみましょう。seoClarity独自のキーワード調査データベースでは、同サイトは60万以上のホテル関連キーワードで上位10位以内にランク入りしています。新しいローカルパックの表示形式への変更は、同サイトの実際の検索結果ページの順位が、93%以上のキーワードについて、最低でも1つ順位を落としてしまうことを意味します。
検索結果における各順位のCTRの違いのため、1位から2位に落ちると、該当するキーワードについて20~30%のトラフィックを失う可能性があります。
今回の変更の潜在的な影響はネット専業の企業にとって非常に大きいものとなっているわけです。
誰が得をするのか?
しかし、別の見方をすれば、この変更は物理的なロケーションを持つ企業や地域のより小規模なプレーヤーにとって、自身のオンライン上でのプレゼンスを監視し、最適化しうる大きなチャンスを意味します。
この状況は、何年もの間、予算や専門的なノウハウ、そして大手競合のような知名度に恵まれてこなかったような旅行代理店、ホテルチェーン、カーディーラー、薬局、自動車用品店やその他製品やサービス事業者にも当てはまります ―そして、ローカルSEOとローカルビジネス検索表示の最適化に注力することで、今や資金が潤沢なネット専業の競合を飛び越え、1番手の位置に飛び込むことができるようになったのです。
どのように影響を測定するのか?
今回の変更が自社にとってチャンス、脅威のどちらであろうとも、ローカルパックがもたらす競合状況への影響を可視化しておくことが重要です。そしてもし自社が物理的なロケーションを有している場合、ローカルパック内の自社順位はビジビリティを高めるために注力しなくてはならない分野なのです。
seoClarityはエンタープライズ規模では唯一といえるローカルビジネスに関する順位分析機能を開発しました。お客様は、全国、さらには特定の都道府県(州)、市区町村(都市)、さらには郵便番号レベルに至るまで、ローカル検索における自社のロケーションやブランドのビジビリティを追跡・監視、さらには分析することが可能です。
この新機能によって以下のことが可能になります:
1: Googleのローカルビジネス検索/マップ検索の結果について、競合と比較してビジビリティに関する知見を得ることができます
2: ローカルビジネスに関するパック表示順位に影響を与える、評価やレビュー、その他の要素を比較することができます
3: 複数のブランドや数多くのロケーションにおける変化や影響、ROIについて、同じように楽々と追跡・監視を行うことができます
◆国内の状況はどうなっているのか?
それでは、日本国内の状況はどうなっているのでしょうか?
実際にいくつか3パックが表示されるローカル検索の例を見てみましょう。
(地域設定を「日本」とし、非ログイン状態で行っています)


これらのように、執筆時点では1位~5位の箇所へ表示されており、検索語句によってseoClarityの調査に比べ、ばらつきがある状況でした。今後は米国の調査のように上位表示される確率が上がる可能性もあり、日本国内においても自社のローカルパック表示の状況を注視していく必要があります。
■3パック表示も含めた順位計測を効率よく行うには?
キーワード数が多くなると、3パック表示を含めた順位測定は煩雑になります。1つの解決方法として、エンタープライズSEOプラットフォームseoClarityの機能を使い、効率化することも可能です。
seoClarityでは、「ローカルビジネス順位表示機能」として、3パックを含めたビジビリティの推移を週次で追跡できます。ユーザーによる評価やレビューの数なども合わせて確認が可能。ローカルSEO上での自社のポジションの把握を効率的に行うことができます。

ローカルパックの順位測定機能を始め、エンタープライズSEOプラットフォームの活用をお考えの皆様、ぜひお気軽に弊社までお問い合わせください。
◆調査手法
seoClarity社による本調査の方法は下記の通りです。
▼データ対象
・調査対象キーワード:57,034キーワード(英語圏)
(100万キーワードの中から、調査期間中に7パック表示・3パック表示されたものを抽出)
・調査期間: 2015年7月~8月(Googleのローカル検索に関する仕様変更の前後の期間)
◆出典
seoClarity社公開記事
「HOW GOOGLE’S LOCAL PACK UPDATE HAS RESHAPED THE ORGANIC LANDSCAPE」
http://www.seoclarity.net/how-googles-local-pack-update-has-reshaped-the-organic-landscape-12952/