ABテストにおいて、MVPとは実用最小限度のプロダクト(Minimum Viable Product)のことを指します。しかし、どこまでが最小限度でどこからがそうではないのか判断するのは非常に難しいです。今回は、そんなMVPの考え方についてご紹介します。
■MVPとは実用最小限度のプロダクトという意味
MVPという言葉の前提にあるのは、リーンスタートアップという考え方です。リーンスタートアップでは、開発途上にあるサービスでABテストを繰り返すことで、顧客のニーズにあったサービスを開発していく手法のことを指します。
(エリック・リース著『リーンスタートアップ』は、グロースハックやCROに関わる人は一読することを強くおすすめします。)
リーンスタートアップでは、最小の期間でユーザーのニーズにあった機能を見つけるため、ABテストを重視します。その際に、実際の製品やサイトをそのままつくるのではなく、最小限の機能を持った製品をつくります。これがMVPです。MVPを用いてテストをすることで、余計な工数を割くことなく高速でPDCAを回すことが可能になります。
■どこまでがMVPかの判断は非常に難しい
しかし、どこまでが最小限の機能で、どこからが最小限でないのか、判断するのは非常に難しいです。例えば、導線を追加するテストをするときに、単純なテキストリンクを追加すればよいのか、ボタンまで作ったほうがよいのかなどは、多くの人が悩むのではないでしょうか。
また、どこまでABテストの検証パターンを作りこむかは、検証後のどのように実装するのかによってもかわってきます。検証終了後に、検証パターンをそのまま本番用に使うのであれば、作り込む必要性は高いでしょうし、そうでなければ仮のパターンで問題ないとも考えられます。
MVPの考え方を考慮してどこまで検証パターンをつくるべきかを、一概に結論づけることはできません。検証すべき仮説、実現すべき検証の精度、制作や検証にかかる時間などを総合的に判断しなくてはなりません。
■気づかれないリンクは最小限度の機能を満たしていない
ただ、どこまでがMVPかを考える上で考慮すべきことは、追加する機能を十分に気づかれるものにすることです。
これは当たり前のようで非常に重要なポイントです。ほとんどのユーザーは、担当者の想像を遥かに超えるスピードでページを流し読みしています。流し読みユーザーに対しても、その機能の存在がひと目でわかるように工夫しなければ、機能の検証としては十分ではないといえるでしょう。
十分にユーザーの視界に入るにもかかわらず、使われなかったり意図した動作を引き起こせてなかったりする場合に、はじめて、その機能は不必要な機能だったと判断できます。
今回は、ABテストにおけるMVPの考え方についてご紹介しました。どこまでがMVPであるかを一概に決めることはできません。しかし、最低限、ユーザーに気づかれる大きさで機能を追加する必要があるということを今回はお話しました。
MVPを使ってABテストを繰り返し、本当に顧客ニーズにあったサービスを作り上げていきましょう。